ストキャスティクスとは?設定・計算式と売られすぎサインの検証結果
ストキャスティクスの計算式、%Kと%D、14・3・3の設定、ファスト・スロー・フルの違いを解説します。売られすぎ・買われすぎのクロスを4市場で検証した結果も紹介します。

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**ストキャスティクス(Stochastic Oscillator)**とは、直近 N 本の高値と安値の範囲の中で、最新の終値がどこにあるかを 0〜100 で表すオシレーター(買われすぎ・売られすぎを見る指標)です。一般に 80 以上を買われすぎ、20 以下を売られすぎと呼び、多くのツールの初期設定はスローストキャスティクスの 14・3・3 です。当サイトが 4 つの市場で検証したところ、1時間足では「売られすぎでのゴールデンクロス」「買われすぎでのデッドクロス」は、サインのない普段の値動きと比べて差がありませんでした。このページでは、仕組みと設定を説明したうえで、ストキャスティクスをサインではなく状況を読む道具として使う方法を紹介します。
ストキャスティクスの計算式
ストキャスティクスには %K と %D の 2 本の線があります。
- %K(元の値) =(終値 − 直近14本の最安値)÷(直近14本の最高値 − 直近14本の最安値)× 100
- スロー %K = 元の %K の 3 期間の単純移動平均(SMA)
- %D = スロー %K の 3 期間の SMA
**単純移動平均(SMA)**は、直近 N 個の値をそのまま平均したものです。%D は %K をさらに平らにした線で、2 本の交差(クロス)を見る人が多いです。
計算の例
GBPUSD の1時間足で、直近 14 本の最高値が 1.3430、最安値が 1.3280、最新の終値が 1.3400 だとします。
%K =(1.3400 − 1.3280)÷(1.3430 − 1.3280)× 100 = 0.0120 ÷ 0.0150 × 100 = 80
終値は、直近 14 本の値幅の下から 80% の位置にある、という意味です。ストキャスティクスが示すのは「どこで引けたか」だけで、この先どちらに動くかは示しません。
ストキャスの設定
MT4・MT5・TradingView では、%K の期間、%K のスローイング(平滑化)、%D の期間の 3 つを入力します。表記は「14・3・3」のようになります。
| 種類 | %K | %D | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ファストストキャスティクス | 元の %K(平滑化なし) | 元の %K の 3 期間 SMA | 敏感でクロスが多い |
| スローストキャスティクス(14・3・3) | 元の %K の 3 期間 SMA | スロー %K の 3 期間 SMA | 一般的な初期設定。クロスが減り、線がなめらか |
| フルストキャスティクス | 平滑化の期間を自由に設定 | 期間を自由に設定 | 3 つとも変えられる(例: 14・5・5) |
入力を変えると、次のように変わります。
- 期間を短くする(5〜9): 反応が速くなり、0 や 100 に届く回数が増えます。クロスもダマシも増えます。
- 期間を長くする(21 以上): 線がなめらかになり、両端に届きにくくなります。サインは遅れます。
- スローイングを増やす(3 を 5 に): なめらかになる代わりに遅れます。
- 基準の水準: 80/20 が一般的で、70/30 を使う人もいます。
どの通貨ペア・時間足にも正しい設定はありません。変えるときは、過去のチャートで確かめてください。過去に一番合った設定を選ぶだけの「当てはめすぎ」を避ける方法は、バックテストで解説しています。
チャートで見るストキャスティクス

この 1 週間の GBPUSD には、いちばん大切な点が表れています。10月26日から28日にかけて、価格は 1.3385 付近から 1.3277 付近まで下がり、ストキャスティクスは長い時間 20 以下にありました。その間にも売られすぎでのクロスが何度か出ており、最初のクロスで買っていれば、続く下げの途中で買うことになりました。28日から30日には価格が 1.3430 付近まで上がり、線は上昇のほとんどの間 80 以上にありました。最初の買われすぎのクロスで売っていれば、上昇の途中で売ることになりました。
数値が両端にあるのは、価格が直近の範囲の端で引けているということです。トレンドの中ではそれが普通の状態で、勢いが尽きたサインではありません。
当サイトのデータ: 売られすぎ・買われすぎのクロスは機能するか
教科書どおりのサインを、スローストキャスティクス 14・3・3 で検証しました。
- 買いのサイン: %K と %D がともに 20 以下で、%K が %D を上抜ける(ゴールデンクロス)。24 本後に価格が上がっていたかを見ます
- 売りのサイン: ともに 80 以上で、%K が %D を下抜ける(デッドクロス)。24 本後に価格が下がっていたかを見ます
- 比較の基準: サインに関係なく、すべての足のうち 24 本後に価格が上がって(下がって)いた割合
出典: OnForex による Yahoo Finance の1時間足の分析(2024年1月〜2026年10月。ゴールドは COMEX の金先物で 2024年6月から)。4時間足は1時間足から作成
1時間足(24 本 = 1 日)
| 市場 | 20 以下のクロス後に上昇 | 普段の上昇割合 | 80 以上のクロス後に下落 | 普段の下落割合 |
|---|---|---|---|---|
| EURUSD | 49.7%(597 回) | 47.7% | 49.2%(561 回) | 52.3% |
| GBPUSD | 52.1%(574 回) | 51.5% | 46.7%(613 回) | 48.5% |
| USDJPY | 54.4%(395 回) | 56.5% | 47.1%(782 回) | 43.5% |
| XAUUSD | 51.3%(308 回) | 53.8% | 43.9%(597 回) | 46.2% |
4時間足(24 本 = 4 日)
| 市場 | 20 以下のクロス後に上昇 | 80 以上のクロス後に下落 |
|---|---|---|
| EURUSD | 48.7%(150 回) | 61.5%(135 回) |
| GBPUSD | 53.1%(143 回) | 50.3%(157 回) |
| USDJPY | 61.1%(90 回) | 49.8%(227 回) |
| XAUUSD | 57.6%(85 回) | 49.1%(173 回) |
数字の読み方
- 1時間足では、クロスは普段の値動きと変わりませんでした。 20 以下のクロスは、EURUSD と GBPUSD では普段より 0.6〜2.0 ポイント高く、USDJPY とゴールドでは 2.1〜2.5 ポイント低い結果でした。80 以上のクロスは 4 市場中 3 市場で普段の下落割合を下回り、上回ったのは USDJPY(+3.6 ポイント)だけでした。
- 4時間足でよく見える数字は、偶然でも出る範囲です。 EURUSD の 80 以上(61.5%)と USDJPY の 20 以下(61.1%)が目立ちます。ただ、1 つの欄あたり 90〜230 回しかなく、両方の時間足で 16 の欄を調べています。サインに意味がなくても、いくつかの欄が 50% から離れるのは自然です。隣の欄は 50% 前後にとどまっています。
- トレンドがあると、サインの回数が偏ります。 期間の多くで上昇した USDJPY は、1時間足で 80 以上のクロスが 782 回、20 以下が 395 回でした(4時間足では 227 回と 90 回)。指標が主に示していたのは「トレンドが出ている」ということでした。
- コストは含めていません。 スプレッドとスリッページを引けば、どの数字も下がります。
正直なまとめとしては、両端でのクロスだけではサインになりません。それでも、トレンドや注目する価格帯など、トレードする理由がすでにあるときの「タイミングを計る道具」としては使えます。
ストキャスティクスの使い方
1. トレンドの方向に限って使う
先に 50EMA やマーケットストラクチャーでトレンドを決め、その方向のクロスだけを見ます。上昇トレンドなら、押し目で 20 以下から上抜けたクロスを押し目買いのタイミングの目安にし、80 以上は売りの理由にしません。トレンドの決め方は押し目買い・戻り売りと移動平均線を参照してください。
2. 先に引いた価格帯で使う
クロスは、反発する理由のある価格帯で出たときに意味が増します。サポート・レジスタンス、需給ゾーン、フィボナッチの戻しなどです。ストキャスティクスはきっかけで、理由は価格帯の側にあります。
3. ダイバージェンス
弱気のダイバージェンスは、価格が高値を更新しているのに、指標の高値が切り下がっている状態です。強気のダイバージェンスは、価格が安値を更新しているのに、指標の安値が切り上がっている状態です。勢いが弱まっていると読みます。

この例は RSI ですが、ストキャスティクスでも読み方は同じです。ただし、当サイトの RSI のダイバージェンスの検証では、24 本後に価格がダイバージェンスの方向に動いていたのは、およそ半分でした(例: EURUSD 1時間足 45.4%、USDJPY 1時間足 56.6%)。詳しい数字はダイバージェンスの解説にあります。
4. 損切りと利確を先に決める
きっかけが何であっても、損切りは見立てが崩れる価格に置き、ポジションサイズはその距離から計算します。損切りとポジションサイズを参照してください。
計算例
GBPUSD の4時間足が上昇トレンド(上向きの 50EMA の上に価格がある)で、前回のスイング安値の近くにサポートの価格帯を引いたとします。1時間足で価格がその価格帯まで押し、ストキャスティクスが 20 を下回ったあと、%K が %D を上抜けました。
- トレードする理由はトレンドと価格帯で、クロスではありません
- クロスした足の終値で入り、損切りはスイング安値の少し下、たとえば 15 pips 下に置きます
- 口座 1,000 ドルの 1% は 10 ドルです。1 ロット(10 万通貨)あたりの 1 pip の価値は約 10 ドルなので、10 ÷(15 × 10)= 0.067、切り捨てて 0.06 ロットです
- 利確は前回のスイング高値に置き、利幅が損切り幅の 1.5〜2 倍以上あるかを確かめます(リスクリワード比)
- 価格がスイング安値を終値で下抜けたら、ストキャスティクスがどうであれ見立ては外れです
重要な経済指標の前後は、スプレッドが広がり、損切りがスリッページで不利に約定することがあります。エントリーは避けるのが無難です。どの指標が相場を動かすかは経済指標カレンダーで解説しています。
ストキャスティクスと RSI の違い
| ストキャスティクス | RSI | |
|---|---|---|
| 測るもの | 終値と直近の高値・安値の範囲 | 平均の上昇幅と平均の下落幅 |
| 一般的な設定 | 14・3・3 | 14 |
| 基準の水準 | 80/20 | 70/30 |
| 速さ | 速く、両端に届きやすい | なめらか |
| 線の数 | 2 本(%K、%D)。クロスを見る | 1 本 |
どちらが上というものではなく、勢いの表し方が少し違うだけです。両者はほとんどの時間同じように動くので、並べて使っても根拠はあまり増えません。ほかのオシレーターはRSIとMACDで解説しています。
よくある失敗
- 80 を超えるたびに売る。 GBPUSD のチャートのように、トレンドの中では買われすぎが何日も続くことがあります。
- クロスだけでエントリーする。 1時間足の検証では、クロスは普段の値動きと差がありませんでした。
- 過去のチャートで設定を最適化する。 昨年に一番合った設定は、ノイズに合わせただけのことが多いです。
- オシレーターを重ねる。 ストキャスティクス、RSI、CCI が同じことを示していても、根拠は 3 つではなく 1 つです。
- 上位足や価格帯を見ない。 クロスはタイミングの道具で、理由は別のところから持ってくる必要があります。
関連ページ
全体の流れは、テクニカル分析、プライスアクション、ローソク足のパターン、ボリンジャーバンド、マルチタイムフレーム分析、FX の手法一覧もあわせて読んでください。
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