ヘッドアンドショルダー(三尊・逆三尊)とは?ネックラインと目標値
ヘッドアンドショルダー(三尊)と逆三尊の形、ネックラインの引き方、目標値の計算、損切りの位置を解説。4市場で数えた厳密なパターンの結果と、失敗した実例も紹介します。

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ヘッドアンドショルダー(日本では三尊、三尊天井とも呼びます)は、3つの高値でできる天井のパターンです。真ん中の高値(ヘッド)がいちばん高く、左右の高値(左肩・右肩)はそれより低く、ほぼ同じ高さになります。2つの安値を結んだネックラインを終値で下抜けたときに、はじめてパターンが完成します。底で現れる上下逆の形は逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)です。
この記事では、形の見分け方、ネックラインの引き方、目標値の計算、損切りの位置を、数字を使った例で説明します。そのうえで、当サイトが4つの市場で数えた「厳密な三尊」の結果と、パターンが失敗した実際のチャートを紹介します。結論を先に言うと、三尊は「当たるパターン」ではなく、「どこで間違いと判断するか」がはっきりするパターンです。
三尊ができるまでの5つの段階
三尊天井は、次の順番でできあがります。
- 左肩:上昇トレンドの中で高値を付け、いったん下がります。
- ヘッド:左肩より高い高値まで上がり、また下がります。下がった先は、1つ目の安値と同じくらいの水準です。
- 右肩:もう一度上がりますが、ヘッドには届かず、左肩と同じくらいの高さで止まります。
- ネックライン:左肩のあとの安値と、ヘッドのあとの安値を結んだ線です。水平のこともあれば、少し傾くこともあります。
- 完成:ローソク足の終値がネックラインを下回ります。ヒゲだけで抜けても完成とはみなしません。
よく語られる背景はこうです。買い手はヘッドで高値を更新しましたが、右肩では同じことができませんでした。高値を更新できなかったことが最初の警告で、ネックラインを割ったことは、買い手が守っていた安値を失った証拠だという見方です。
SMC の用語で言い換えると
マーケットストラクチャーやSMC(スマートマネーコンセプト)の用語を使うと、同じ形を次のように説明できます。
- ヘッドは左肩の高値を上抜けます。そこには買いの逆指値が集まりやすく、これを buy-side liquidity(BSL) と呼びます。ヘッドはこの BSL を取りにいく動きです。liquidity sweep に近い動きですが、ヘッドはすぐには戻らず、しばらく左肩の上で推移することが多いです。
- 右肩は LH(切り下がった高値) です。上昇の構造が崩れ始めた最初のサインです。
- ネックラインの下抜けは、最後の HL(切り上がった安値) を割る動きです。これはトレンドと逆向きの最初のブレイクで、MSS(マーケットストラクチャーシフト) にあたります。
つまり三尊は、トレンドが終わるときの典型的な流れ(最後のひと伸び、切り下がった高値、安値割れ)に名前を付けたものです。三尊という形そのものが、価格を動かす特別な力を持っているわけではありません。

このチャートは教科書どおりの三尊ではありません。ただ、「更新できない高値」「切り下がった高値」「直近のHL割れ」という順番は同じです。三尊を探すより、この順番を追うほうが、多くの場面に応用できます。
逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)
| 三尊(ヘッドアンドショルダー) | 逆三尊 | |
|---|---|---|
| 出やすい場面 | 上昇のあと | 下落のあと |
| 形 | 3つの高値、真ん中がいちばん高い | 3つの安値、真ん中がいちばん低い |
| ネックライン | 高値の間の2つの安値を結ぶ | 安値の間の2つの高値を結ぶ |
| 完成の条件 | ネックラインを終値で下抜け | ネックラインを終値で上抜け |
| 失敗の目安 | 右肩を上抜ける | 右肩を下抜ける |
| SMC での見方 | ヘッドが BSL を取る、LH、下向きの MSS | ヘッドが sell-side liquidity(SSL)を取る、HL、上向きの MSS |
この記事の説明は、すべて逆三尊にも当てはまります。「高値」と「安値」、「上」と「下」を入れ替えて読んでください。
ネックラインと目標値の引き方
ネックラインは、2つの安値を結んで引きます。2つの安値の高さが違えば、線は傾きます。一度引いたら、価格が近づいてから引き直さないことが大切です。都合のよい場所でブレイクしたことにしてしまうからです。
パターンの高さは、ヘッドの高値から、その真下のネックラインまでの値幅です。
目標値(メジャードムーブ)は、ネックラインを終値で抜けた位置から、パターンの高さと同じ値幅だけ下に伸ばした水準です。
失敗の目安は右肩です。価格が右肩を上抜けると、切り下がった高値がなくなり、パターンの前提が崩れます。三尊でいちばん役に立つのはここです。どこで自分の見方が間違いだったと判断するかが、はっきり決まります。
計算例(説明用の数字)
GBPUSD で、左肩が 1.2750、ヘッドが 1.2820、右肩が 1.2755 だったとします。2つの安値はどちらも 1.2680 で、ネックラインは水平です。
- パターンの高さ:1.2820 − 1.2680 = 140 pips
- 目標値:1.2680 − 140 pips = 1.2540
- ローソク足が 1.2670 で引け、ネックラインを下抜けました。ここで売るとします。
- 損切り:右肩の 5 pips 上の 1.2760。リスクは 90 pips です。
- 目標までの距離:1.2670 − 1.2540 = 130 pips。リスクの約 1.4 倍(1.4R) です。R は1トレードで失ってよい金額(リスク)を1とした単位です。
ロット数は、口座 1,000 ドルで1回のリスクを 1%(10 ドル)にする場合で計算します。GBPUSD の 1 pip の価値は、1 ロット(10 万通貨)で 10 ドルです。10 ÷(90 × 10)= 0.011 ロットなので、切り捨てて 0.01 ロットになります。90 pips の損切りは、小さな口座ではほとんど余裕がありません。これが、戻りを待つ人が多い理由の一つです。
戻りを待つ場合:その後、価格がネックラインの 1.2680 まで戻り、上値を抑えられたところで売るとします。損切りを同じく右肩の上に置けば、リスク 80 pips に対して目標まで 140 pips で、約 1.75R です。ただし、戻りは来ないこともあります。また、右肩より手前に損切りを置くと、パターンの根拠とは関係のない位置になります。計算の考え方はリスクリワードレシオとポジションサイジングで確認できます。
逆指値の損切りは、発動すると成行注文として約定します。経済指標の前後や市場の始まりはスプレッドが広がり、指定した価格より不利な価格で約定することがあります(スリッページ)。
実例:失敗した三尊

形はきれいな三尊です。10月初めに左肩ができ、ヘッドははっきり高く、右肩はヘッドより低く、左肩とほぼ同じ高さです。ネックラインはゆるやかに右下がりです。10月14日ごろ、大きな陰線がネックラインの下で引けました。教科書どおりなら、ここで天井が完成です。
しかし、パターンは失敗しました。次のローソク足からネックラインの上に戻り、数日のうちに右肩を上抜け、GBPUSD はヘッドを大きく超えて 1.34 付近まで上昇しました。ネックライン割れで売り、右肩の上に損切りを置いた人は、1R の損失で終わります。損切りを置かずに目標値まで持とうとした人は、はるかに大きな損失を抱えたことになります。
この例をあえて載せたのは、解説記事に出てくるチャートが、うまくいった例に偏りやすいからです。失敗する三尊も、ブレイクの瞬間までは成功する三尊とまったく同じに見えます。
当サイトのデータ:目標値に届いた割合
1時間足と4時間足で、次の条件を満たす「厳密な三尊」を機械的に探しました。
- 3つの高値が、高値と安値を交互に作るスイングになっている(各高値は、前後5本の中でいちばん高い)
- ヘッドが、左右どちらの肩よりも 1 ATR 以上高い(ATR(14) はローソク足の平均的な値幅を表す指標です。詳しくは ATR)
- 左肩と右肩の高さの差が 0.6 ATR 以内
- 2つの安値を結んだネックラインを、30本以内に終値で抜けて完成
結果として、「右肩を超えて戻る前に、目標値に届いたか」を数えました。
| 市場 | 1時間足の三尊 | 目標値に到達 | 1時間足の逆三尊 | 目標値に到達 |
|---|---|---|---|---|
| EURUSD | 16 | 25.0% | 16 | 50.0% |
| GBPUSD | 18 | 27.8% | 16 | 31.2% |
| USDJPY | 18 | 50.0% | 26 | 42.3% |
| XAUUSD | 12 | 33.3% | 19 | 57.9% |
| 合計 | 64 | 22件(34%) | 77 | 35件(45%) |
出典:OnForex analysis of hourly prices from Yahoo Finance, January 2024 - October 2026(ゴールドは2024年6月〜2026年10月、COMEX金先物)。スプレッドとスリッページは含みません。
4時間足では、1市場あたり1〜6件しか見つからず、何かを言える数ではありませんでした。
ここからわかることは3つです。
- 厳密な三尊は少ない。 4つの市場、約3年分の1時間足で合計141件です。1市場あたり月に1回ほどしか出ていません。解説記事やSNSで三尊が頻繁に出てくるのは、条件がゆるいからです。
- 目標値に届くのは少数派。 三尊で約3分の1、逆三尊で半分弱でした。残りは、目標値より先に右肩を超えて戻っています。
- 件数が少ない。 1つのマスあたり12〜26件です。16件の50%は8件で、1〜2件の結果が違うだけで数字は大きく動きます。市場ごとの差は、偶然でも出る程度の差です。
だからといって、三尊が役に立たないわけではありません。目標値が 1.4R で到達率が3分の1なら、そのままでは勝てる計画になりません。ただ、途中で利確する、トレーリングストップで管理するといった出口にすれば、計算は変わります。どの場合でも確かなのは、「右肩を超えたら見方は間違い」という基準です。
三尊とダブルトップの違い
| ダブルトップ | 三尊 | |
|---|---|---|
| 高値の数 | ほぼ同じ高さの2つ | 3つ、真ん中がいちばん高い |
| ネックライン | 1つの安値、たいてい水平 | 2つの安値を結ぶ、傾くことも多い |
| 失敗の目安 | 2つの高値を上抜ける | 右肩を上抜ける |
| 厳密な条件での出現数 | 4時間足でごくまれ(当サイトのデータ) | 1時間足でもまれ、4時間足ではごくまれ |

三尊には、ダブルトップと比べて一つ実用的な利点があります。右肩がヘッドより低いため、失敗の目安がパターンの最高値より近くにあります。ただし、実際にそこへ損切りを置いた場合に限った話です。
三尊の使い方
- 場面を確認する。 三尊が意味を持つのは、長い上昇のあと、上位足のレジスタンスや供給ゾーンに届いた場面です。レンジの真ん中で出た三尊は、ただの小さな上下にすぎないことが多いです。上位足の見方はマルチタイムフレーム分析を参照してください。
- 終値を待つ。 ネックラインを終値で抜けるまでは、パターンではありません。
- 損切りは失敗の目安に置く。 右肩の上に、スプレッドの分の余裕を足します。
- ロット数は損切りから決める。 先にロット数を決めて、損切りをそれに合わせるのは逆です。
- 目標と損切りを比べる。 目標値まで 1R ほどしかないなら、見送る判断もあります。
- 出口を先に決める。 目標値で全部利確するのか、部分利確と建値(BE)への移動を使うのか、トレーリングストップにするのかを、エントリー前に決めます。
よくある失敗
- 完成前に三尊と決めつける。 山が3つあっても、ネックラインを終値で抜けるまでは三尊ではありません。
- 肩の高さがそろっていない。 右肩が左肩よりかなり高い、または低い場合は、別の構造と考えたほうが自然です。
- ネックラインを引き直す。 価格が触れてから線を動かすと、ブレイクの判断が後付けになります。
- 目標値を約束と考える。 当サイトのデータでは、到達は半分以下でした。
- 損切りをパターンの内側に置く。 ネックラインのすぐ上の損切りは、普通の戻りで狩られます。
- 強いトレンドに逆らって毎回使う。 強い上昇の途中に出た三尊は、ただの一休みのことがよくあります。
次にやること
自分で決めた条件で過去の三尊・逆三尊を探し、結果を R で記録して、30件以上集めてから使うかどうかを判断してください。そのうえで、デモ口座でネックライン・損切り・ロット数を書き込む練習をするのがおすすめです。関連する記事:ワイコフ理論、サポートとレジスタンス、ローソク足のパターン、ダウ理論、損切り、バックテスト、テクニカル分析。
重要事項: 本ページに掲載する Exness(運営会社 Nymstar Limited)は、2023年4月21日付で金融庁から無登録業者として警告を受けています。無登録業者との取引では、出金拒否などのトラブルが起きても日本の法令による保護を受けられないおそれがあります。当サイトは紹介リンクから報酬を受け取ることがあります。FXは元本を超える損失が出ることもあり、利益を保証するものではありません。
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