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パラボリックSARとは?設定・計算式・見方と検証結果

パラボリックSARの計算式と0.02・0.2の設定、ドットの見方、騙しが多い理由を解説。4時間足で「反転のたびに売買を切り替える」検証をした結果も、4つの市場で紹介します。

パラボリックSARとは?設定・計算式・見方と検証結果

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パラボリックSARとは、上昇中は価格の下に、下降中は価格の上にドット(点)を並べ、価格がドットに触れると反対側へ移るトレンド系のインジケーターです。1978年にウェルズ・ワイルダーが、主にトレーリングストップ(利益を守りながら損切りを動かす手法)として考案しました。今回の自社検証では、強いトレンドが長く続いた市場ではプラスでしたが、レンジの多い市場では損失が続きました。

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この記事では、計算式と標準設定の0.02・0.2、ドットの読み方、使われ方、そしてEURUSD・GBPUSD・USDJPY・ゴールドの4時間足で行った検証を紹介します。


パラボリックSARの仕組み

パラボリックSARは、**エクストリーム・ポイント(EP)**を基準にドットを動かします。EPとは、上昇トレンド中の最高値、下降トレンド中の最安値のことです。次の足のドットは、次の式で決まります。

次のSAR=今のSAR+AF×(EP−今のSAR)

AF(加速係数)は、最初は0.02で、EPを更新するたびに0.02ずつ増え、最大0.2で止まります。トレンドの初めはドットが価格から遠く、トレンドが続くほどAFが大きくなってドットが価格に近づいていきます。この曲線が放物線(パラボリック)に見えるので、この名前が付きました。価格がドットに触れると、トレンドが終わったとみなして反転します。SARは直前のEPの位置に移り、AFは0.02に戻り、反対方向の計算が始まります。

設定標準大きくすると小さくすると
ステップ(AFの初期値と増分)0.02ドットが価格を速く追い、反転が増えるドットが遠くにとどまり、反転が減る
最大AF0.2トレンド後半の損切りが近づく損切りが遠くにとどまる

式からは、2つのことが分かります。1つ目は、この指標には常にポジションがあることです。買いか売りのどちらかで、「何もしない」状態がありません。2つ目は、ドットと価格の距離が時間の経過でも縮むことです。横ばいが続くと、いずれドットが価格に追いついて反転します。


ドットの見方

  • ドットが価格の下: 上昇トレンドと判断します。ローソク足がドットの上にとどまる間は、その判断が続きます。
  • ドットが価格の上: 下降トレンドと判断します。
  • 反転: 価格がドットに触れ、ドットが反対側に現れる状態です。これが転換のサインです。
  • ドットとの距離: 離れているときは動きが始まったばかりか、伸び切った状態です。ほぼ接しているときは、トレンドが長く続いたあとで、反転が近いことを意味します。
GBPUSDの4時間足にパラボリックSARのドットを表示したチャート。2026年10月に、ドットが価格の下から上、上から下へ何度も切り替わる
GBPUSD 4時間足(2026年10月5日〜30日)。トレンドが出ている間は同じ側にドットが並び、価格が触れると反対側へ移ります。横ばいの場面では、反転が短い間隔で続いています。

GBPUSDのチャートを見ると、特徴が分かります。トレンドが出ている間は、ドットが片側に並び、少しずつ価格に近づいています。一方、価格が横ばいになると、ドットがすぐに追いついて反転を繰り返しています。この反転ごとにポジションを切り替えると、小さな損失が重なります。この「騙し」の多さがパラボリックSARの最大の弱点で、経験のあるトレーダーが単体のエントリーサインには使わない理由でもあります。


主な使われ方

  1. トレーリングストップ。 別の根拠(ストラクチャーのブレイク、押し目買いなど)で入ったポジションに対し、損切りを最新のドットへ動かします。損切りは不利な方向には動かず、トレンドが成熟するほど近づきます。詳しくはトレーリングストップをご覧ください。
  2. トレンド方向のフィルター。 ドットが下にあるときだけ買い、上にあるときだけ売る、というルールです。エントリーは別の方法で決めます。
  3. ストップ・アンド・リバース。 反転のたびにポジションを逆にします。指標の名前どおりの、最も素直な使い方で、下で検証したのはこの方法です。
  4. 強さの指標と組み合わせる。 ADXや移動平均線で、そもそもトレンドが出ているかを確認し、出ていないときはSARの反転を無視します。ADX、移動平均線もご覧ください。

自社データの検証結果

最も素直な「常にポジションを持つ」方法を、4時間足で試しました。ルールは次のとおりです。

  • SARが価格の下に反転したら買い、上に反転したら売る。
  • 反転した足の終値で、ポジションを逆にする。
  • 1回の売買ごとに1.2ピップスのコストを引く。
  • 設定は0.02・0.2。

出典:OnForex 独自分析(Yahoo Finance の1時間足データを4時間足にまとめたもの、2024年1月〜2026年10月。ゴールドは2024年6月〜2026年10月で、COMEX の金先物)。

4時間足・反転のたびに売買EURUSDGBPUSDUSDJPYXAUUSD
トレード数369387376312
勝率38.5%36.4%38.3%44.2%
損益(コスト控除後)−519ピップス−1,824ピップス+697ピップス+2,358ドル

1つの市場あたり、月に約11回の売買です。ここから分かることは3つあります。

  • 勝率はどの市場でも45%未満でした。 これはトレンドフォロー(順張り)の典型的な形で、小さな負けが多く、大きな勝ちが少数あります。EURUSDでは、平均の勝ちが+54.6ピップス、平均の負けが−36.4ピップスでした。勝率38.5%でもコスト前はほぼ釣り合っていましたが、コストを引くと足りませんでした。
  • 結果は市場によって分かれました。 ゴールドは2024年から2026年にかけて大きく上昇し、USDJPYも長い一方向の動きがありました。そのためプラスになった可能性があります。EURUSDとGBPUSDは期間の多くがレンジで、反転が損失になりやすかったと考えられます。この説明自体は別途検証していません。
  • 1つの期間と1つの設定の結果にすぎません。 約2年半、4つの市場の結果から、将来も機能するとは言えません。別の期間や設定では、符号が逆になる可能性があります。また、1.2ピップス以外のコストや、スプレッドの拡大、スリッページは検証に含めていません。

正直に言うと、SARの反転システムは「この相場はトレンドになる」という賭けです。トレンドが出れば利益が出て、出なければ反転のたびにコストを払います。


具体例:ドットでトレーリングストップを動かす

GBPUSDを、ストラクチャーの上抜けで1.3300に買ったとします。最初の損切りは1.3250(50ピップス)。口座資金は1,000ドル(約15万円)で、1回のリスクを1%(10ドル)にします。標準ロットあたりのピップスの価値を約10ドルとすると、ロット数は10÷(50×10)=0.02ロットです。

価格が上昇し、SARのドットが1.3320まで上がったら、損切りをそこへ動かします。これで、スリッページを除けば、そのポジションは損失になりません。さらに上がってドットが1.3380に達し、そこまで価格が押してきて触れたとすると、約1.3380で手じまいになり、80ピップス(最初のリスクの1.6倍、1.6R)の利益です。ドットは戻らないので、トレンドの最後の部分は逃しますが、「いつ手じまうか」の迷いをルールで消せます。数字は例です。急な値動きや窓開けでは、損切りが不利な価格で約定する(スリッページ)ことがあり、指標発表や市場の寄り付きではスプレッドが広がります。


よくある失敗

  1. レンジでエントリーに使う。 先にトレンドが出ているかを確認します。ADXが低い、移動平均線が横ばいのときは、騙しが続く前提で考えます。
  2. 高い勝率を期待する。 順張りの方法は、勝つより負ける回数のほうが多くなります。小さな負けが続くことに耐えられないなら、SARの反転売買は向きません。
  3. リスクのルールなしで反転する。 常にポジションを持つ方法は、反転以外に損切りがありません。急な相場では、エントリーからドットまでの距離が大きくなります。ドットまでの距離が口座の何%に当たるかを、先に決めておきます。
  4. 設定を過去に合わせて調整する。 0.02・0.2を変え続けて過去が良く見える値を探すと、過剰最適化になります(バックテスト)。
  5. 時間足を無視する。 1分足ではドットが頻繁に切り替わり、日足では反転が少なく遅れます。自分の保有期間に合う時間足を選びます。
  6. 反転を予測だと思う。 ドットは、価格がすでにしたことを示しているだけで、将来を予測するものではありません。

他の指標との違い

道具主な役割長所短所
パラボリックSARトレーリングストップと転換の目安ルールが明確で、常に見えるレンジで騙しが続く
移動平均線トレンドの方向滑らかで単純遅れる。手じまいも遅い
ATRを使ったトレーリングストップボラティリティに合わせた損切り値動きの大きさに適応する倍率の選択が必要
ADXトレンドの強さトレンドとレンジを見分ける方向は分からない

損切りの考え方は損切り、全体像はテクニカル分析、順張りの考え方はトレンドフォローも参考になります。


まとめ

パラボリックSARは、ルールが明確なトレーリングストップであり、転換の目安にもなる指標です。ドットは価格を追い、時間とともに近づくので、手じまいの規律を作るには便利です。一方で、反転を売買のサインにした自社の4時間足の検証では、ゴールドとUSDJPYはプラス、EURUSDとGBPUSDはマイナスで、勝率は36〜44%でした。トレーリングストップとして使うか、トレンドを見る指標と組み合わせ、損切り幅からポジションサイズを決め、ルールを変えるときは検証してから資金を使うのが現実的です。

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