パワーオブスリー(AMD)とは?ICTの3段階とジューダススイング
パワーオブスリー(AMD)を解説。アキュムレーション・マニピュレーション・ディストリビューションの3段階、ジューダススイング、デイリーオープンを、UTC・日本時間の時刻と独自データで確認します。

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パワーオブスリー(Power of Three、PO3、AMD)とは、ICT(Inner Circle Trader)の手法で使われる、値動きの3段階の見方です。レンジで値動きが小さいアキュムレーション、だましの動きで流動性(損切り注文が集まる場所)を取るマニピュレーション、本命の動きであるディストリビューションの順に進むと考えます。売買のサインではありません。当サイトが2024年1月〜2026年10月の1時間足で調べたところ、「だましの後に逆へ動く」という典型的な形は、ロンドンがアジアレンジの片側を抜けた日のうち、約4〜5日に1日しかありませんでした。
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ここでは3段階の中身、ジューダススイング、デイリーオープン、UTCと日本時間の時刻を説明し、最後に4つの市場のデータで確かめます。前提となる用語はスマートマネーコンセプト、リクイディティスイープ、ICTキルゾーンで詳しく解説しています。同じアジアレンジを手法として使う場合はロンドンブレイクアウトを見てください。
パワーオブスリーとは何か
名前の由来は、1本のローソク足や1日の値動きが、3つの動きでできているという見方です。始値からいったん片方へ動いてヒゲを作り、その後に反対方向へ動いて終値を付ける、という図で説明されます。
| 段階 | 略称 | 価格の動き | 時間帯の目安(UTC) |
|---|---|---|---|
| アキュムレーション | A | 狭い範囲で動き、注文が溜まる | アジア時間、0:00〜7:00ごろ |
| マニピュレーション | M | レンジの片側を抜けて、戻される | ロンドンの始まり、7:00〜10:00ごろ |
| ディストリビューション | D | 反対方向へ動き、トレンドになる | ロンドンからニューヨーク、8:00〜16:00ごろ |
背景にあるのは、大きな資金は大量の注文を約定させるために流動性が必要だ、という考え方です。値動きが小さいレンジの高値の上には買いの損切り注文(バイサイド・リクイディティ、BSL)が、安値の下には売りの損切り注文(セルサイド・リクイディティ、SSL)が溜まります。価格がどちらかを抜けるとその注文が約定し、その後に反対へ動く、という筋書きです。
ここで大事なのは、AMDは「後から見ると多くのチャートに当てはまる筋書き」だということです。先を当てられるかどうかは別の問題で、後半のデータで確かめます。
3つの段階を詳しく見る
アキュムレーション:値動きの少ないレンジ
アキュムレーションは、価格が横ばいで動く時間です。ユーロドルやポンドドルでは、東京時間を中心とするアジア時間がこれに当たることが多くなります。当サイトのデータでは、ユーロドルの平均的な1時間の値幅は、22:00〜4:00(UTC)で約6.6〜8ピップス、ロンドンの始まりで約15ピップスでした。
AMDを使う人は、この時間帯の高値と安値に線を引きます。レンジの中では何もしません。レンジは、損切り注文がどこにありそうかを示す地図として使います。
マニピュレーション:ジューダススイング
マニピュレーションは、レンジの片側を抜けてから戻される動きです。ロンドンやニューヨークの始まりに出るものを、ICTではジューダススイングと呼びます。価格が一方向に進むと見せかけて、反対へ動くことから、裏切り者の名前が付いています。
上昇する日の流れは次のとおりです。価格がアジアの安値を割ってSSLを取り、レンジの中に終値で戻り、その後に上昇します。下落する日はその逆で、アジアの高値を超えてBSLを取り、レンジ内に終値で戻り、その後に下落します。
ポイントは終値でレンジの中に戻ることです。ヒゲだけ抜けて戻ればスイープ、終値がレンジの外に出て進み続ければブレイクアウトで、意味は逆になります。リアルタイムで見分けるのは難しく、このモデルが過去チャートでは分かりやすくても、実際には使いにくい最大の理由です。
ディストリビューション:本命の動き
ディストリビューションは、だましの後のトレンドの動きです。マニピュレーションが終わった証拠として、マーケットストラクチャーの転換(MSS)や、ストラクチャーの更新(BOS)、反対方向へのフェアバリューギャップ(FVG)が出るのを待ち、オーダーブロックまで押す(戻る)場面を探す人が多いです。目標は、レンジの反対側や、前日の高値・安値に置かれます。
デイリーオープンとAMDの時間帯
ICTでは、デイリーオープン(その日の始値)が重要だとされます。本命の動きの前に、価格がこの始値から逆方向へ動かされるという考え方です。使われる定義は主に2つあります。
| 定義 | UTC(北半球の冬) | UTC(北半球の夏) | 日本時間(冬/夏) |
|---|---|---|---|
| ニューヨーク時間の午前0時 | 5:00 | 4:00 | 14:00/13:00 |
| FXの1日の区切り(NY 17:00) | 22:00 | 21:00 | 7:00/6:00 |
ニューヨークは夏時間(サマータイム)を使い、英国と米国は時計を切り替える日が違います。そのため、春と秋の数週間は、ロンドンとニューヨークの時差が1時間ずれます。日本標準時(JST、UTC+9)は夏時間がなく、1年を通して変わりません。
当サイトの分析では、1日を22:00〜22:00(UTC)、アジアレンジを0:00〜6:59(UTC、日本時間で9:00〜15:59)、ロンドンの時間帯を7:00〜11:59(UTC、日本時間で16:00〜20:59)としています。時間帯を固定して比較しやすくしたもので、これが唯一の正解という意味ではありません。

この日は形が分かりやすい例です。アジアの狭いレンジ、ロンドンでの高値抜け、反転、そして安値を割った終値という流れでした。ただし、こうした日を1日探すのは簡単です。大事なのは、どのくらいの頻度で起きるかです。
当サイトのデータ:AMDはどのくらい起きるか
ユーロドル、ポンドドル、ドル円、ゴールド(XAUUSD)の1時間足で調べました。出典:OnForex analysis of hourly prices from Yahoo Finance, January 2024 - October 2026 (gold: June 2024 - October 2026, COMEX gold futures)。調べた日数は、ユーロドルとポンドドルが722日、ドル円が721日、ゴールドが579日です。
| ロンドンがアジアレンジに対してしたこと | EURUSD | GBPUSD | USDJPY | XAUUSD |
|---|---|---|---|---|
| ちょうど片側だけ抜けた | 74.4% | 73.8% | 71.2% | 71.8% |
| 両側を抜けた | 16.9% | 20.1% | 5.4% | 4.7% |
| どちらも抜けなかった | 8.7% | 6.1% | 23.4% | 23.5% |
| 抜けたのと反対側で、アジアレンジの中央を越えて終わった(ジューダススイング的な動き) | 29.2% | 26.5% | 19.1% | 23.3% |
最後の行は、ロンドンがちょうど片側だけ抜けた日が対象です。表の読み方は次のとおりです。
- ロンドンがアジアレンジのどちらかを抜ける日は多数派です。これは値動きが大きくなる時間帯なので当然で、それだけでは売買の根拠になりません。
- ジューダススイング的な動き(抜けた後に反対側のレンジ中央を越えて終わる)は、片側だけ抜けた日の約19〜29%でした。残りの約71〜81%は反転しませんでした。
- ドル円とゴールドは、ロンドンがどちらも抜けない日が約4分の1ありました。東京やニューヨークでよく動く市場なので、アジアのレンジがユーロドルほど静かではないためと考えられます。
つまり、パターンは存在しますが少数派です。5日に1日前後しか当たらないモデルを、次のブレイクで「これはだましだ」と決めつける根拠にはできません。
日足の高値・安値はいつ付くか
AMDが当てはまるなら、日足の高値か安値がマニピュレーションの時間帯に付く日が多いはずです。実際に付いた時間帯は次のとおりです。
| 日数に占める割合 | EURUSD | GBPUSD | USDJPY | XAUUSD |
|---|---|---|---|---|
| 高値が22:00〜7:00(UTC)に付いた | 32.7% | 30.2% | 37.5% | 35.4% |
| 高値が7:00〜12:00に付いた | 17.5% | 17.1% | 12.9% | 9.6% |
| 高値が12:00〜17:00に付いた | 30.6% | 30.2% | 28.7% | 33.7% |
| 安値が22:00〜7:00に付いた | 29.0% | 28.8% | 45.3% | 44.5% |
| 安値が7:00〜12:00に付いた | 16.8% | 21.0% | 13.8% | 10.7% |
| 安値が12:00〜17:00に付いた | 33.6% | 29.9% | 27.4% | 29.9% |
残りは17:00〜22:00(UTC)に付いた日です。ユーロドルの日足の高値・安値が最も多く付いた時間は13時と14時(UTC)で、それぞれ約7〜8%でした。これはロンドンではなくニューヨークの始まりです。日足の高値と安値はほぼ1日中に散らばり、アジア時間のうちに付く日もかなり多くなっています。

グラフからは、特定の1時間が日足の高値・安値を独占してはいないことが分かります。「ロンドンで高値か安値が決まる」という見方も、この4つの市場では裏付けられませんでした。
AMDの使われ方(約束はしません)
以下は手法の説明であり、推奨ではありません。よくある流れは次のとおりです。
- ロンドンが始まる前に、アジアの高値と安値に線を引く
- スイープ(片側をヒゲで抜けて、終値でレンジ内に戻る動き)を待つ
- 下位の時間足で、反対方向へのマーケットストラクチャーの転換を探す
- オーダーブロックやFVGでエントリーを計画し、損切りはスイープの端の外側に置く
- 目標はレンジの反対側や、近くの反対側の流動性に置き、損切り幅からポジションサイズを決める
ポジションサイズの計算例です。口座が1,000ドル(約15万円)で、1トレードの損失を1%にすると、リスクは10ドル(約1,500円)です。ユーロドルで損切り幅が12ピップスのとき、標準ロット(1ロット=10万通貨)の1ピップスは約10ドルなので、10 ÷(12 × 10)= 0.08ロットになります。スイープの端の外側に置く損切りは、ユーロドルで10〜20ピップスになることが多く、スプレッドを引いても計算が成り立つか確認が必要です。計算式はピップス値とロットサイズにあります。
だましの動きが起きたのは一部の日だけなので、実際にスイープと反転がチャートに出てからでないと、使いにくい手法です。反転する前に「マニピュレーションだ」と思って入るのは、ブレイクに逆らって、すぐ後ろに損切りを置いて入るのと同じです。
よくある間違い
- ブレイクを全部ジューダススイングと決めつける。 当サイトのデータでは、ロンドンの片側ブレイクは、反転よりも続伸のほうが多くなっています。終値がレンジの外に出て戻らないなら、それはブレイクアウトです。
- 始まりの最初の動きに逆らう。 ロンドンの始まりや経済指標の前後はスプレッドが広がり、損切り注文は想定より不利な価格で約定すること(スリッページ)があります。狭い損切りは、スプレッドと速いヒゲだけで当たることがあります。
- 上位足のトレンドを無視する。 強い下降トレンドの中で、アジア安値を割ってから戻る動きは、反転ではなく一時的な休みにとどまることもあります。上位足のトレンドを先に確認してください。
- デイリーオープンを日によって変える。 ニューヨーク午前0時か、UTC 22:00の区切りか、どちらかに決めて続けないと、検証の意味がなくなります。
- 夏時間を忘れる。 ロンドンとニューヨークは時計を切り替える日が違います。UTCで固定した時間帯は、実際のセッションと1時間ずれることがあります。
- きれいな1枚のチャートを証拠にする。 上の例は実際の日ですが、こうした日は少数派です。
関連ページ
- スマートマネーコンセプト:AMDの元になる用語の全体像
- ロンドンブレイクアウト:同じアジアレンジを手法として使う場合
- ICTキルゾーン:セッションの時間と1時間ごとの値幅
- リクイディティスイープ:スイープの見え方と当サイトのデータ
- 取引時間:日本時間での各セッション
- 1トレードのリスク:スイープの外側に置く損切りの考え方
デモ口座で練習する
アジアレンジに線を引き、ロンドンの動きを見る練習は、仮想資金のデモ口座でできます。実資金を使う前に、損切りの位置とポジションサイズの計算まで試してみてください。
重要事項: 本ページに掲載する Exness(運営会社 Nymstar Limited)は、2023年4月21日付で金融庁から無登録業者として警告を受けています。無登録業者との取引では、出金拒否などのトラブルが起きても日本の法令による保護を受けられないおそれがあります。当サイトは紹介リンクから報酬を受け取ることがあります。FXは元本を超える損失が出ることもあり、利益を保証するものではありません。
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